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部位別


膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)・膝蓋骨(お皿の骨)で作られる関節です。
その為「痛み」を出す部位は、非常に沢山あります。
例えば「変形性膝関節症」と診断された方は、非常に多くお見えになります。
「変形性膝関節症」はその名の通り、膝の関節(大腿骨と脛骨、膝蓋骨)に変形や軟骨の摩耗が起こり痛みを出すとされています。
しかし、エコーなどで観察すると、膝関節の関節裂隙(大腿骨と脛骨の間の空間)は保てたれていることも多いです。
つまり、骨同士の接触ではないと考えられます。

では、なぜ痛いのでしょう。
膝関節は蝶番関節と呼ばれ、基本的には「屈曲(曲げること)」と「伸展(伸ばすこと)」しか動作はありません。
この単純な「屈伸動作」を行うために筋肉をはじめ、靭帯・関節包・脂肪体がバランスよく動きます。
しかし、どこか一か所の滑らかさが失われることで、様々な症状が出てしまいます。
注射や投薬・湿布・リハビリで、症状が改善されない方。一度ご相談下さい。
エコー観察や当院の評価で、その痛みの原因が分かるかもしれません。

〔膝外側の痛み〕

「膝関節」は非常に複雑な構造をしています。
沢山の筋肉に囲まれ、各種靭帯や半月板などの軟骨組織、脂肪体など様々な組織が協調し合い「膝」の複雑な動きを作り出しています。

「膝関節」が何らかの痛みを出す場合、必ずしも「靭帯損傷」や「半月板損傷」などの実質ばかりが原因とは限りません。
前述のとおり、非常に複雑な構造の「膝関節」は様々な原因で痛みを出します。

ここでは「膝関節外側部痛」に焦点を当て、その原因などを記載していきます。

①伸張ストレス
あなたの膝が「内反膝(いわゆるO脚)」の場合、膝の外側に大きな負担が加わります。
原因として考えられるのは、
A.後外側支持機構
 外側側副靭帯を中心とした各種靭帯が原因とされ、膝関節に対して脛の骨が外側を向く(下腿の外旋)が膝の外側の組織に大きなストレ 
 スを与えると考えられており、これらのストレスが痛みの原因になります。
B.動的支持機構
 膝の裏側には「膝窩筋」と呼ばれる小さな筋肉が存在します。この筋肉は膝関節に対して脛の骨を内側に向ける作用があります。つまり
 前述した「下腿の外旋」が起こることでストレスを受け痛みを誘発します。

②摩擦ストレス
これも前述した「下腿の外旋」が起こることで発生します。
主な原因は「大腿二頭筋」と呼ばれる太ももの裏側、外側にある膝を曲げる筋肉です。
この「大腿二頭筋」はその付着部(膝の外側やや下:腓骨頭)で外側側副靭帯と摩擦を起こすと考えられています。
しかし、この摩擦を軽減するために、人間の関節には「滑液包」と呼ばれる組織がありますが、ストレスを受けることでこの「滑液包」が
炎症を起こします。これが「滑液包炎」で、この場合「大腿二頭筋下滑液包炎」と呼ばれ、頑固な痛みの原因になります。

③圧縮ストレス
この圧縮ストレスには「腸脛靭帯」と呼ばれる太ももの外側にある索上の線維が原因と考えられています。
「腸脛靭帯」は太ももの筋肉全体を包む大腿筋膜外側の肥厚部です。
この「腸脛靭帯」は大腿二頭筋のところでも書いた滑液包炎を起こすことで有名です。腸脛靭帯炎と呼ばれています。
しかし近年、腸脛靭帯の下部には滑液包が存在しないことが分かり、代わりに脂肪組織が炎症を起こす「脂肪体炎」が原因と報告されています。
膝関節周囲には幾つかの脂肪体が存在しますが、脂肪体には神経終末(痛みなどを伝える神経)や血管が多く存在するため、炎症を起こした際は痛みを誘発すると考えられています。

以上、代表的な「膝関節外側部痛」の原因となる部位を記載しましたが、どれにも共通するのは「膝が内反(O脚)」している、またはその傾向にある場合です。
つまり、痛みの出ている患部のみを施術しても根本治療にはなり得ません。

当院では接骨院隣接のジムにて歩行状態や全身の姿勢(アライメント)などを評価しながら「膝が内反(O脚)」している原因にも焦点を当てています。

(引用:運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 編著:工藤慎太郎 医学書院)